エイプリルフール

6/17
前へ
/607ページ
次へ
電話をしている朱里を心配そうに黙って見ている主任。 「……そうですか…… わかりました。 そうしましょう。 で……原稿はどうしますか? あ――――…… 勝手にしちゃっていいんですか? え?アタシが? …… やってみます…… データーアタシに送ってください…… お疲れ様です。」 朱里は受話器を置くとふぅっと息を吐いた。 そして、田宮のデスクの原稿を自分のデスクに放り投げ、パソコンをガチャガチャと動かした。 主任に目を移すとニカッと笑った。 「行けますよ! 田宮さん、写真上げて来てますよ!」 その言葉に伊知川は立ち上がり朱里のパソコンを覗き込んだ。 「田宮っち、やるじゃん」 伊知川は驚きながらも満足顔だった。 「勝手に決めて…… よかった……ですか?」 出過ぎた行動だったと今更気付き、朱里はちょっと上目で主任を見た。 「いいよ! よく機転利かせたのぉ 98点じゃ! 残りの2点は、ワシが近くにおるんじゃ ワシに一言報告して結果を出したら100点じゃったの!」 「ごめんなさい……」 朱里は嬉しそうに首を竦めながら謝った。 「よし、データーコピーして構成に持って行って! 本写真のコトはワシから話しておく……」 朱里はにっこり頷くとチップ交換をして手を動かした。
/607ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1166人が本棚に入れています
本棚に追加