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「ねぇ、朱里?
休み取れたらオレの実家に来ねぇ? 」
突然、智洋が言った。
朱里は目を丸くした。
「ほら……言ってたじゃん!
戦争の生き証人の話」
「あぁ…… 言った……」
「爺ちゃんの話……
聞く?
爺ちゃんボケてんだけど、昔の話なら勝手にすんだよね」
「行く!
ちょっと待って……
それなら、仕事で行ける!
主任に話して所長に言ってみる!」
朱里は手帳を開きスケジュールを確認していた。
「主任って……
朱里、伊知川さんでしょ?
大丈夫なのか? 」
智洋は心配そうな顔をした。
「もう…… 大丈夫なの……
謙ちゃんが……
話してくれて、もう完全に終わったって感じかな……」
「朱里は?
お腹の子供だって……」
「もう…… いいの……
いいんよ……
忘れたもん……」
呟きが半透明に浮いていた……
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