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朝早く目が覚めた朱里は8時には病院に居た……
母の作る朝ごはんを食べない為だった。
母の持たせてくれたおにぎりを鞄の中でギュッと握った。
前処理が施行され、本手術は午後からだった……
麻酔を点滴から受け記憶が消えて行く……
その頃、耐えられなくなった智洋は一ノ瀬に電話をしていた。
「謙太郎さん……朱里が……」
〔なんかぁ!
コッチは仕事山積みなんで!
朱里も仕事じゃろ? 〕
「今日は休んで病院……」
〔病院? なんでや……〕
「朱里…… 今、堕胎手術……」
〔は? なんやそれ……〕
「竪町の病院が何個も入った中の古江レディースクリニックって3階にあるらしい……」
〔なんで智洋が知っとるん? 〕
「謙太郎さんに言えなかったみたいでさ……
オレが同意書書いた……
昨日、分かって今日手術って……
謙太郎さん、やっぱ、オレじゃなくて謙太郎さんが行ってやってよ……
昼から手術って言ってたから、目覚めた時にオレより謙太郎さんの方が……」
〔………… ワシ……
朱里を怒鳴りそうな……
ワシだって心当たりはあったんで?
伊知川のガキじゃねぇかもしれんのんで……
勝手にすんなや……〕
「ごめんね……謙太郎さん……」
〔智洋…… サンキュー……
行ってみるわ……〕
一ノ瀬はパソコンを抱え部屋を出た……
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