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「朱里…… これやる……」
一ノ瀬がペラペラの紙切れを布団をはぐり朱里の目の前に付き出した。
「いつでも好きな時に書いて提出……
期限は……
無制限……
だけど、必ず提出……」
カシャリと音を立ててその紙切れは朱里の手へと渡された……
「婚姻……届け? 」
朱里は涙いっぱいの目を一ノ瀬に向けた。
「次はワシのガキ……
頼むで……」
少しだけ朱里に笑うと一ノ瀬はパソコンを出して仕事を始めた。
朱里は紙切れの重さに震えた……
「意地悪……」
朱里は一ノ瀬に小さな声で言った。
「あぁ?なんか言ったか?」
パソコンのキーを叩きながら朱里を見ずに少しだけ口元を緩ませた一ノ瀬が言った。
「アタシ……
幸せかも……」
一ノ瀬は朱里をチラリと見ると照れたようにまたパソコンを叩き始めた。
朱里は薬が効いてきたのかそのまま紙切れを抱きしめて眠ってしまった……
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