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「目を……瞑りなさい……」
近付くおじさんは赤い白眼で覆われた深いビー玉のような黒眼をグイっと向け、しゃがれた恐ろしい声で優しくアタシに語りかける。
「いいえ……」
アタシはその目をギッと見た。
―――――――!!
ゴクッという感覚が背中を押し背中の筋を絡めるように異物はアタシの身体の中へとアタシの意思を無視して非道にも無理矢理押し入って来ているのであろうか……?
熱い……
身体が熱い……
でも……アタシはおじさんから目を反らさない……
ギザギザの刄がアタシの目の前にギラリと鈍く光る……
アタシは口だけで笑った……
そして、目を閉じた……
アタシの胸へ朱い汗が……
流れた……
「朱里ぃ!!」
「……謙……吾さん……
ありがとう……ございます……
………………い……さ…… お……い……………す……と……」
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