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微笑みながら彼は美琴に話しかけた。
『金沢 美琴さんで間違いないですか?』
美琴は声を震わせながらも必死で答えた。
「ま…間違い…ありま…せん。あなた…は……?」
すると彼は手をポンと一回叩くと苦笑いしてこういった。
『申し送れました。私はこの列車[dream train]の車掌を勤めているセツリというものです。』
「ドリーム……トレイン………?」
私がそう呟くと彼は笑顔で説明してくれた。
『はい。[dream train]とはアナタが心から行きたいと願う場所へ連れて行って差し上げる列車の事なんです。』
「心から……行きたいと願う場所………。」
『そうです。アナタにもあるでしょう?心から行きたいと願っている場所が…。』
「お金はいくらかかるの?」
『お金は一切かかりません。……乗車致しますか?』
そう言うとセツリさんは私に手を差し出してきた。
この手をとれば……ずっと願っていたあの場所に行ける。
私はゴクリと唾を飲み込むと彼の手に自分の手を重ねた。
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