第壱廻

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‥‥と思えたのもほんの数日前まで。 私にはどうやら執着だとか固執だとか、そういった人間らしい感情が皆無らしい。 冷静だね、とはよく言われるけど、そんなきれいな言葉は相応しくない。 言うならば淡白、もしくは冷淡。 私を取り巻くのは世界から隔絶するためのフィルターで、いろんなものとか見聞きするもの全てを、その薄い膜を介しているような気がするのだ。 「‥‥はぁ、」 今日も今日とて屋上に上る。 空が青い、(らしい) カフェオレがまずい、(らしい) 私に伝達される感情、感覚。 それらは全て私以外の誰かから伝わるもの。 それが誰かとかは確証がないが、っていうかこの論説自体あやふやなものなんだよね(さっき思いついた) いつまでも心中にあるものといったら、面倒臭いという気持ちと、なんとも言えない空白感。空白っていうか、空虚? 何をやっても虚しいみたいな、どうにも満たされない思いがあった。 いや、満たされないとか言ってる時点で私は十分人間らしいのかもしれない。 だけどもこれも仮説にしか過ぎず、満たされないからどうだ、とかそういう根源の解決には至らなかった。 満足感を得たいとも思わない。 ていうか考えるのもめんどい。
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