第壱廻

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ここまで辿り着いて次に思ったのが、何のために生きているのか、という話だ。 哲学的な命題ではあるが、考えてみる価値はあると思った。 考えて答えが出ればそれは人生の目標になるだろうし、まず何よりこの空虚を埋めてくれる筈、だった。 ここで注目して欲しいのは、この話はあくまで過去のものである、ということだ。 だった、とか言ってるから分かるとは思うけど。 つまり私は思考を放棄したのだ。 考えてるうちに何を考えているのか分からなくなって‥‥まあ要するにアレだ、めんどくなったわけだ。 何のために生きているのか、とか、誰にもわかるはずないじゃん。 大体これまでの私の生活に関わっていた人なんて数えるほどしかいない。 両親は幼い頃に事故で亡くした。 親戚も疎遠だし、友達とろくろく呼べるような奴もいない。 あれ、もしかしてこれって一種の鬱状態というやつか。 いやでも鬱ってこんなにあれこれと考えるものなのかな。 ‥‥どうなのかな‥、面倒だな。
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