第壱廻

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いつか聞いた話だが、鬱病とされる人間が死に至るケースはまずない。 何でかと言えば、彼らにはやる気がないからだ。 生きるのも面倒だけど、死ぬまでの気力もない。 言ってしまえば私も同じような人種だったんだろうけども、幸か不幸か、この日だけは違ったんだ。 やる気も元気も勇気もない。 もう人間失格といってもいいような私にも、唯一仕事が与えられていた。 それは多分、成し遂げたところで誰も喜ばないだろうし、それ以前に誰も気付かないだろう。 新学期、面倒臭い、とクラスの委員決めをサボってしまったがために与えられた仕事。 それは至極簡単な、しかしこれといって花も人気もない。 所謂、飼育係というやつになってしまったのである。
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