第壱廻

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いつかどっかの誰かが言った。 「鬱状態の人間が、自殺に走ろうとする条件はひとつだけ」 それは、たまーにやる気を見せたときなのだ、と。 皮肉なもんだ。 金魚を可愛がってただけなんだよ。 だけど気付いたら、私が大空という名の大海にダイブしてたんだよ。 殆ど無意識。 体が勝手に動いたんだ。 最後に聞いたのは、カシャン、ってフェンスが小さく軋む音。 ああそれと、耳元で渦巻いたごうごうという風の唸り声、かな。 その後? んなもん知らないよ。 だって全部、なくなっちゃったんだもん。 世界の代わりに、私が金魚になっちゃったんだよ‥‥ってコレあんま上手くないな。 まあ兎に角さ、私に非はないと思うわけ。 だって、自殺願望があったわけでも、苛めに遭ってたわけでもないんだから。 鬱だったわけでもないんです。 ただなんか、全てが面倒だなって、 少 女 金 魚 -
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