父親と私

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朝早く目が覚めると焼ける様に痛む喉と頭痛。 目は怖い位充血してました。 首は真っ赤に腫れてたのを覚えています。 そして… 私の洋服がキチンとたたんである上に封筒と走り書きのメモがありました。 メモには 『みぃちゃんへ しんせきのおじさんがむかえに来るから先に帰っていいよ』 と、だけありました。   直ぐにお寺の住職さんが来て私に 『みぃちゃん…大変な事になったんだよ』 って告げたんだけど、どこかで私は父親が死んだんだって理解出来てたんですよね。 住職さんの社務所みたいな部屋には警察官が何人も居たし、住職さんも慌ててました。 一人のお巡りさんが寄ってきて 『首どうしたの?お父さん?』 って笑顔で聞くの… 私は首を横に振りながら涙がボロボロ溢れました。 お父さんは私を殺さなかった。 お父さんは私を殺さなかった。 何度も心の中で叫んだ。 父親は首を吊り自殺しました。 世間では無理心中って言いますが、父親は私を殺さなかったんです。
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