3570人が本棚に入れています
本棚に追加
私と父親との死の旅はこうして幕切れです。
私達が居なくなった後、祖母と叔父は捜索願いを出してました。
祖母や叔父が夜行列車で奈良へやってきました。
到着を待つ間父親は寸足らずの棺桶に膝を曲げて寝てました。
背が高かった事とその棺桶しか準備出来なかったみたいです。
今考えると凄く不自然だと思うけど、なぜか父親は二階の間借りしていた部屋に安置されてました。
細くて急な階段の上です。
住職から
『二階上がっちゃダメだよ』
って言われたけど…
階段の一番上にあの黒いスーツを着てニコニコ笑う父親が座ってたんです。
おいでって呼ぶみたいに手招きしてた。
全然怖くなかったし、あら?お父さんそこに居たの?
みたいな感覚でしたね。
所詮、七歳ですから本当の死を理解出来ませんよ。
急な階段だからゆっくり上りました。
その間も父親はニコニコ笑ってました。
最初のコメントを投稿しよう!