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せっちゃんは頭をうん、うんって動かしながら私を抱き締めて泣いてました。
その瞬間私も猛烈な悲しみが沸きました。
でも、涙出ないんです。
泣けなくなってた。
だから誤魔化す為に風車をフゥフゥって吹いて回した。
その頃には階段に居た父親は居なくなってた。
長い時間お寺の庭でせっちゃんと遊びました。
その間に父親は火葬されてました。
夕方には父親は骨壺にちんまりと収まり私の元に帰りました。
まだ、温かい骨壺。
そしてお世話になった住職に見送られて私と父親は福岡へ帰りました。
夜行列車の中祖母も叔母も叔父もみな無言でとても息苦しかった。
これが、人の死なんだと妙に納得しました。
帰ってから畳一畳分の質素な祭壇が設けられていた。
近所の人はその家で葬式があったなんて分からない位に静かに隠す様に葬式は終わりました。
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