勝負開始

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チルノ「これで終わりにしてあげる!」 凍符「パーフェクトフリーズ」 チルノはスペルカード宣言をし、両手を左右に降り始めた。 先程とは違い、バラバラと弾が散らばる。 僕はまた、魔理沙の話を思い出していた。 『パーフェクトフリーズはな、最初はあまり動かない方が良いんだぜ。』 その言葉の通りに僕はあまり動かないでいた。 弾がゆらゆらと不規則なので近くに来たものだけを見て避けていれば良かった。 しかし、 『その後がそのスペカの本命だ』 急に弾速が遅くなる。 『あいつの弾幕は』 そして 『止まる。』 動かなくなった。 僕の周囲には氷の塊がいくつもの漂っていた。 チルノ「ふふん、最初で油断をしていたようね!あんたは既にほくろのネズミよ!さっさとやられちゃえ!」 チルノが手を思い切り振り下ろす。 すると、今まで微動だにもしなかった氷の塊がいきなり動き始めた。 『動いてからが本番だ。この弾幕は数の多さに慌てた方がマズい、何より落ち着く事が大事なんだ。』 僕は深呼吸をする。 『後は周囲に気を配り、弾幕の軌道を予測して避けるだけだぜ』 気を落ち着けると段々と弾の軌道が見えるような気がした。 頭を下げ、体をひねり、腕を上げ、足を下げ…まるで舞を舞うような速さでゆっくりと避ける。 チルノ「ふん!いつまで避けられるかしら!」 チルノが挑発をしてきているがほとんど聞こえなかった。 不思議なほど落ち着いていて、時間がとても遅く感じた。 そして驚く事に一発も直撃をしなかった。 これは自分に流れる妖怪の血のおかげだろうか…分からないがその血に感謝しておこう。 一方チルノは目に映る霖之助の姿に違和感を感じ始めた。 紅白の巫女と黒白の魔法使い、彼女達が被って見えたのだ。 チルノ「何であんた達は、あんた達は…あたいが頑張って作った技をそうも簡単に…」 以前に戦った時、彼女達は余裕の表情すら浮かべ避けていた。 霖之助は必死の表情だったがその表情が彼女達、霊夢と魔理沙の“その”顔に見えた。 弾幕がやんだ。 霖之助「…やっと終わったか…」 心の中で安堵する。 チルノ「もういい…もういいよ…あたいの本気でぶっ潰してあげるから!」
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