ふたりの出会い。

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腰を下ろした彼女は、アイスコーヒーを一口飲むと、江崎を見て、微笑んだ。 「ありがとうございます。本当にすいませんでした」 感謝の言葉を先に言った彼女に、江崎は好感えを抱いた。謝罪も大事だが、まず先に礼が出る所が、さすが店長だ。 「お店の女の子から、何度か電話があって、出てしまいましたが、良かったでしょうか。店長さんなんですね」 「大丈夫です。お店の子から、聞きました。…でも、店長って、どうして…?」 「お店の子が店長、店長って焦っていたようだったので。」 会話をしていくと、彼女がどれだけしっかりしているのかが分かった。素敵な女性だ。 「そうですか。お恥ずかしいところを…」 照れて顔を赤らめた彼女につい、魅入ってしまう。 顔ばかり見てしまう自分を抑えて、江崎は、彼女の耳に揺れる青色のピアスばかり見ていた。 江崎は彼女について、もう少し知りたいと思った。内ポケットから出した名刺入れは、昨日買ったばかりだ。 「携帯電話、お返ししますね」 彼女はそういって、ポケットから携帯を取り出した。 テーブルに並んだ携帯は、まったく同じ色で、でも、まったく違う雰囲気を醸し出していた。 携帯をポケットにしまおうと、出した彼女の手に、江崎は名刺を差し出した。 「名乗り遅れました…と言っても、名前は知ってますよね。僕、江崎亮治と言います」 名刺を差し出すと、さすがに困惑した様子を、彼女は隠さなかった。警戒されているのが分かった。彼女に少女の表情を垣間見た。
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