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ため息は灰色だ。そして空も。
自宅から電車を乗り継いで1時間。働いているのは錦糸町駅前のショッピングビル2階の一角にあるショップ。
20代から30代前半の独身女性をターゲットにした店舗。アパレル業界では大手企業の社員になって3年目。未来は、この会社で二番目に利益を上げているこの店の、店長として3ヶ月前に配属された。
しかし、配属されてからの売上は低迷していた。
社内では『まだ早すぎる』という声を、聞きたくなくても聞こえていたが、未来は、アルバイトから始めたこの仕事を誇りに思っていた。
やっと社員になれた。
それだけで未来は何でも頑張ることが出来たのだ。
ビルの裏手にある従業員入り口からエレベーターに乗ると、運送会社の配達員も何人か乗っていた。
会釈をすると、あまり見かけない女性配達員以外は会釈を返してくれ、1階で降りていった。
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