みらいの仕事。

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月に一度開かれる会議で、一般発売される前の商品を、各店舗ひとつ絞り出し、店長が一週間着まわし、お客様の購買意欲を増進させるのがねらいだ。 未来が提案した企画だった。 昨年からの企画だが、効果は上々で、社内からの評判も良く、未来の株も上がっていた。 ビル内の暖房は徐々に効き始めている。 開店二十分前になると、もう一人の従業員が出勤してきた。 永盛佑喜だ。 ボーイッシュな佑喜はフレアジーンズにラウンドトゥのパンプスで、ダウンベストを着ていた。彼女の雰囲気にキチンと似合った恰好だ。 その日の出勤者が揃うと、朝礼する。一日の売り上げ目標を発表し、挨拶訓練をし、そして、開店準備。 ありがたいことに、未来の店の売り上げは去年一年で本部から算出される予算をすべてクリアしていた。 店では、従業員一人に対して、一日に、昼食の一時間と、午後の三十分、合計一時間半の休憩が設定されていて、忙しくない時間を見計らい、未来が指示を出す。 先に出ていた美穂子が戻ったので、未来は昼食を摂るため、ビルを出た。
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