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残る二人に「何かあったら電話して」と伝え、未来は早々にメニューを考え出した。
いつもなら、自分で作る弁当をデスクで広げる。
しかし今日は、気分を変えて、近くに新しくできた店のパスタを食べようと思っていた。
空がきれいだった。東京の狭い空でも、未来は空を見上げるのが好きだった。今日はいつもより人が多く感じた。昼時だからだろうか。
ドンッ!
空を見上げた一瞬、誰かと肩がぶつかった。未来の鞄の中身が歩道に広がった。
「すみません」
一緒に荷物を拾ってくれたのは、体格のしっかりした長身の男だった。落とした自分の携帯電話ですら、そのままにして、未来に荷物を渡して、最後に自分の物を拾い、
「すいません。ありがとうございます」
未来が言ったか言わないかで、男は立ち去ってしまった。どこか探しているようだった。
【都内初出店】という看板が大きく張り出されている、パスタ専門店は、思いのほか、空いていた。
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