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店に戻ると、二人が慌てているのが分かった。
未来はクレームだとすぐに察し、お客様に頭を下げ続けている佑喜のところへ走った。佑喜は涙目で「私の対応が良くなかったみたいで…。」と小声で言った。
目の前のお客様はことごとく、佑喜を罵っていた。
「大変申し訳ございません」
佑喜を下げ、未来は事の次第を聞き、誠意を込め、続けて謝罪した。
事態を丸く収め、そのあと、佑喜と美穂子に事情を聞いた。
どうも商品説明が出来なかった佑喜に対しての申し出だったようだ。
「店長の携帯に何度も連絡したんですけど、男性が出て、ぶつかった時にどうとか言ってて…」
「ぶつかった時?」
慌てて未来は自分の鞄の中を確認した。自分が持っている機種とまったく同じ、しかし、雰囲気の違う携帯電話が着信を知らせていた。
光る画面には、
『着信中…090・・・・・・・・』
まさに、未来の携帯電話からの着信だった。
「うちの店の名前言った?」
そう美穂子に問うと、彼女は首を横にふった。
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