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「どや?すごいやろー?」
木に見とれていると左の方から男の声が聞こえる。
振り向き、声の主を捜す。
「この木、桜の木なんやで?」
目の前に居た、ハチマキをした大人がこちらに近づきながら話をしていた。
「桜の木っ!?」
とても大きいこの木が、桜の木だと言われ驚きを隠せない。
「あぁ、昔っからある桜の木。うちらの守り神みたいなもんや。どんな時も、俺らを守ってくれた。どんな時も、俺らが守ってきた、そんな大切な奴や」
ハチマキをした男は俺の隣でしゃがみこみ話を進める。
「守り神…」
「そ。んで今はコイツを祝う祭りの準備中ってわけ」
街に人が居なかったのは、お祭りをするため、街総出で準備をしているからだという。
「それより、兄ちゃんあんたどこの奴や?」
「あ、俺最近引っ越して来た、石井良多って言います」
「おぉ!引っ越して来たんかい。ほな仲良うしよな?あ、俺は正也ってんだ」
正也さんはニコニコ笑いながら手を差し伸べてくれた。
「はい!よろしくお願いします」
引っ越して来たばかりで、少し気まずいかなと思っていたため、優しく話かけてくれる正也さんに嬉しくなった。
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