出会い

4/10

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「どや?すごいやろー?」 木に見とれていると左の方から男の声が聞こえる。 振り向き、声の主を捜す。 「この木、桜の木なんやで?」 目の前に居た、ハチマキをした大人がこちらに近づきながら話をしていた。 「桜の木っ!?」 とても大きいこの木が、桜の木だと言われ驚きを隠せない。 「あぁ、昔っからある桜の木。うちらの守り神みたいなもんや。どんな時も、俺らを守ってくれた。どんな時も、俺らが守ってきた、そんな大切な奴や」 ハチマキをした男は俺の隣でしゃがみこみ話を進める。 「守り神…」 「そ。んで今はコイツを祝う祭りの準備中ってわけ」 街に人が居なかったのは、お祭りをするため、街総出で準備をしているからだという。 「それより、兄ちゃんあんたどこの奴や?」 「あ、俺最近引っ越して来た、石井良多って言います」 「おぉ!引っ越して来たんかい。ほな仲良うしよな?あ、俺は正也ってんだ」 正也さんはニコニコ笑いながら手を差し伸べてくれた。 「はい!よろしくお願いします」 引っ越して来たばかりで、少し気まずいかなと思っていたため、優しく話かけてくれる正也さんに嬉しくなった。 
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加