flower

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   全てを拒絶して生きてきた、 その所以か、よく他人から ”可哀相な人”だとか”淋しそうな人” だとか、遂には”笑うことってあるのか” だって。 あるよ、おれだって、だって ヒトだもん。…多分。 おれ、ヒトなのかな もしかしたら ヒトだと思い込んでるのかも、 だって、だって誰もおれを ヒト扱いしてくれない。   あの人だって結局はそうだったんだ。   だから聞いてやったんだ、 あんたにとって俺はチョークから 零れたカスみたいなもんなのかって 零れ落ちる度、嫌がられ、煙たがられて むしろ産まれてこなければよかったのに と思わせるような そしたら、どっちかって言うと 文字や図の方に使われてこびりついた方 だよ、なんて笑われた 意味がわかんなくてむしゃくしゃした。 おれのなにがダメなんだよって 怒鳴り付けた。 それでも微笑んでた、あの人。 いつしか、俺の歌う声がすきだって言ってた。 ばかじゃないのか、正気かよって 頭の隅で感じながらも仕方ないから 数少ない俺が最初から最期まで歌える曲を 歌ってやった。 気しょく悪いんだよ、 どうせ心も篭ってないのに そんなことスラスラ言いやがって。 むしゃくしゃしたからサビの途中で切り上げた。 それでもアイツは笑うんだ。不思議。 心地がわるかった 、と思う。 でも心のどっかで構ってほしかった 変なやつでどうせ俺の事なんか 放っぽり出すんだ。 でも会うのを少しだけ楽しみにしてた。 名前も もう 解らないけれど。 最期に一度でいいから 会いたい それが駄目なら、 『せめて、枯れたい』 end
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