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やはり、出来合いの紅茶では風味もイマイチ。 だからといって執務室までティーセットと茶葉を取りに戻るわけにも当然いかず、この事件の真相を突き止めるまでは我慢せざるを得まい。 そんなことをぼんやりと考えながら、永世中立劇場のロビーで缶の紅茶をすすりつつ、しばし休息を取っている時だった。 不意に、背後からすっぽりと抱きすくめられてしまう。 「なっ……!?」 熱いほどの体温と力強い腕の持ち主で、こんな悪ふざけを仕掛けてくるような手合など、誰だか考えるまでもなく。 「ロウ捜査官……」 呆れ声で呼びかけると、アタリとでも言いたげに、胸にまわった腕に力が篭もる。 「どうしたと言うのだ」 物言わず訴えてくる様子が、幼い駄々っ子のように感じられて。 問えば小さくかぶりを振る。 肩口に乗せられたあごがくすぐったかった。
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