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「ただよぅ」
物言いも、どこか不貞腐れている。
「なんだ?」
「あのヤハリって野郎、羨ましいぜ」
彼はなぜ、唐突にそんなことを言い出したのだろう。
「なぜだ??」
真意を悟れなければ、問うしかあるまい。
「ちっせぇ頃のかぁいらしいお前のコト、知ってんだろ? アイツ」
予想だにしなかった言葉に目を見開くことしか出来ない。
彼の言葉から伺い知ることが出来たのは、ひどく愛らしい不満と欲求で。
なんと、呼べば良いのだろう。
この面映くも心地好い、甘く胸を満たす感情を。
これは彼にも、返してやらねばならないだろう。
もらうばかりでは、申し訳ないではないか。
私はゆっくりと、口を開く。
「それを言うなら、私はシーナ捜査官が羨ましいな」
「あぁ~ん?」
「いつでも貴方の、傍に居られる」
こちらの意図は、届いたようで。
尚一層、私を包む腕に力が篭もった。
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