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もう助からなかった
でも父は知っていた
父は、迷惑をかけないように出張と言って病院に通ってた。
父は泣いていた
自分が死ぬことにではなく、僕達に嘘をついてたことにだった
次の日に父は亡くなった。
僕は格好をつけて泣かなかった
僕は、泣いている母と父の部屋を片付けていた
父の机の上にはビデオカメラが置いてあった
その夜僕はビデオカメラを見てみた
そこには病院にいる父の姿が映っていた
父は笑顔でカメラに向かって話していた
『貧乏でごめんなぁ~、お前や母さんにいっぱい迷惑をかけたよな~、俺さぁ、不器用だからこんな伝えかたしかできないんだわ
俺はもうすぐ死にます
馬鹿見たいだよな~、結局俺は最後の最後までお前らに迷惑かけてさ~
でもな、お前らと家族で俺は幸せだったよ、
確かに裕福じゃなかったけど、本当に幸せだった
俺の大事な息子よ、母さんを頼んだぞ
本当にごめんな。』
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