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「びっくりだよな。学年の優等生が、バスケ部のエースが彼女に暴力振るってるなんて聞いたら…。みんなどう思うだろうな…。」
海藤は、自虐的に笑いながら話を続ける。
「あぁ、もちろんうまくごまかしておいたから本当のことはバレてないよ。残念だったね。」
その言い様に愕然とした。
まるで、わざと海藤の友人に話を聞かせたかのように……そして海藤を陥れようとしたかのように話すからだ。
あんまりだと思った。
そんなこと、する訳がないのに……。
辛くても、悲しくても誰にも言わず耐えていたのに……。
信じていたから。
好きだから―――。
なんとか誤解を解きたいと、顔をあげると、そこには怒りと憎しみに満ちた目をした海藤がいた。
「……っ――!」
今までに見たことのないくらい、恐ろしい顔をしている。
人はこんなにも怒りで顔が変わるのかと思うほど、は別人のようだった。
睨まれている恐怖で身体が震え、冷や汗が身体を伝う。
殴られるという恐怖が、じわじわと襲ってくる
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