6131人が本棚に入れています
本棚に追加
「この俺の長年の努力を、お前はすべて台無しにするところだったんだ!!」
海藤は、怒鳴り声を上げながら、麻衣の腹を蹴り上げた。
「――ゔっ……!」
突然の激痛に、顔を歪め耐えていると、海藤が麻衣の髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。
髪を引っ張られる痛みと、蹴られた腹の痛みで、涙が頬を伝う。
「お前、分かってるのか?俺の人生めちゃくちゃになるところだったんだ……それとも何か?いくら足掻いても、兄貴に勝てない俺を嘲笑ってるのか?」
海藤の言っている意味が分からず、首を必死に横に振る。
が、海藤は怒りにまかせ、麻衣の顔を平手で殴った。
その衝撃で、割れたコーヒーカップの破片が散らばっているところに倒れこんだ。
「――つっ……。」
腕に鋭い痛みが走る。
コーヒーカップの破片で切れたのか、腕から血が流れていた。
さっき顔を殴られたときに切れたのだろうか、口の中には、血の味が広がっている。
.
最初のコメントを投稿しよう!