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「…くそっ、…くそっ!お前となんか付き合うんじゃなかった…。別に女なら誰でも良かったんだ…お前を選んだのは、顔が好みで、大人しそうだっただけだ……それなのに、まさか俺を裏切るとは……。」
海藤は、ぶつぶつとまだ部屋の中を歩きまわっている。
その言葉を聞いて、全身から血の気が引いていくのを感じた。
殴られた痛みも感じない。
あたしのこと、好きじゃなかった………。
信じられなかった。
付き合って欲しいと言ってくれたあの言葉は嘘だったのだ。
殴られた痛みのせいではなく、悲しくて、涙が溢れる。
信じていたのに。
どんなに殴られても、海藤のことが好きだった。
優しい彼を知っていたから――。
溢れる涙が頬を伝い、床を濡らしてゆく。
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