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そんな、まさか、嘘でしょう?
海藤はどんどん迫ってくる。
必死に逃げようとしたが、後ろは壁で逃げ場がない。
怯える麻衣を見て、海藤は楽しそうに笑った。
「大丈夫だよ…俺がいつも使ってるやつだから。もちろん量は守ってるけどね…これ、全部使ったらどうなるのかな……試してみようか…。」
言い終えると同時に、後ろ手に縛られている麻衣の腕を海藤が掴んだ。
「ん~!んん~!」
首を横に振り、止めてくれと必死に訴えた。
そんな麻衣に、海藤は冷たく言い放った。
「俺を裏切った罰だ。思いしれ。」
その目は理性を失っているように見えた。
もう駄目だと思った。
逃げられない――。
そして、やってくるだろう恐怖に、目を瞑った。
――ガチャリ。
「……ちっ!」
その音に海藤は舌打ちをし、麻衣から離れた。
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