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昨日の海藤は、別人のようだった。
しかも、クスリをやっていた……。
いつからかは分からないが、あの言い方だと、日常的に使っているようだった。
そして、昨日の言動から、兄に強いコンプレックスと、おそらく恐怖心も持っているらしいことが分かった。
何をしても優秀で、いつもたくさんの友人に囲まれて楽しそうに笑う海藤とは、かけ離れた姿だった。
何が彼をクスリに走らせたのだろう。
何が彼をそこまで追い込んだのだろう。
単なる興味本位?
クスリで得られる快楽のため?
何か辛いことから逃れるため?
自分を偽って優秀な生徒を作りあげていた海藤には、悩みを聞いてくれる本当の友人などいなかったのかもしれない。
クスリに助けを求めるしかなかったのだろうか……。
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