6130人が本棚に入れています
本棚に追加
由利は、学校が終わるとすぐに帰ってきた。
「麻衣!大丈夫?何ともない?」
「ありがとう。大丈夫だよ。本当にありがとう。」
由利は麻衣の言葉を聞いて安心したのか、笑顔になる。
そして、担任には、高熱が続いてるので一週間休むと言っておいたからと言った。
「色々ありがとう。あの……海藤くん、学校来てた……?」
「うん、いつも通りに来てたよ。特に、変わったことはなかった…。」
「……そっか…。」
やはり、海藤は休んでなどいなかった。
優秀な生徒である以上、ズル休みなど絶対にしないだろう……。
いつまでも学校を休むわけにはいかない。
いずれは、海藤と顔を合わせる日がくる。
それは、避けようのないことだと分かってはいても、海藤の顔を見る勇気がなかった――…。
.
最初のコメントを投稿しよう!