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ふいに、手が温かいもので包まれる。
それは、由利の手だった。
「大丈夫だよ。あたしがいる!」
由利は、麻衣の手をギュッと握りしめた。
「――由利…。」
嬉しくて泣きそうになってしまい、下を向いた。
「――麻衣、あたしね、実は……体育のときに偶然見てしまったの。その……麻衣の痣を……。」
そう言われ、驚いて顔を上げた。
気を付けて着替えていたつもりだったのに、見られていたなんて……。
「それでね、もしかして、家族とか恋人に暴力を振るわれてるんじゃないかと思って、ずっと気になっていたの。」
由利が放課後になぜあんなことを言ってきたのかが分かった。
「それで、麻衣から電話があって………あの日、海藤くんと一緒に帰ったみたいだったから、あの痣は、海藤くんが原因なんだって分かったの……。」
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