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「私さ、10歳のころにこの町に転校してきたんだ。」
「え?おねぇさんこの町に前から住んでいたわけじゃないの?」
「うん、そうなの。」
昔を思い出し少し私は顔をしかめる。
「どうしたの?おねぇさん?」
その表情の変化に気が付いたのか、少し不安そうに浩哉が声を掛けてきた。
「な、なんでもないよー…。だた」
「ただ…?」
「あんまり良い思い出ではないから…」
あの頃を思い出すと、いまだに背筋が凍る。
純粋だったからこそ起きた話。
「嫌な話って話ほうが楽になるよ?」
少し下からのぞきこむように、浩哉が声を掛けた。
「ッ…。」
今そんなことを言わないで欲しい。
いくら年下だと分かっていても
縋ってしまいたくなるから…。
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