序章

2/23
434人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
― ―― ――― ―――― とある山の奥深くに、小さな村があった。 その村にある一軒の家の縁側に、若草色の着物を着た隻眼の老人が座って茶を啜っていた。 その老人の名は“柳 慎之介”戦場で敵と味方の双方から、そのあまりの強さに恐れられていた“風の刃”と呼ばれる人物である。 柳は三年程前、心の臓の病になり自分の体に限界を感じて、それからこの村に療養の目的で住み始めたのだ。 だが、病は一向に治る気配が無く、むしろ年々酷くなる一方であった。 柳は病が完治することがないと悟り、今はただ平穏に暮らし、この村に骨を埋めようと決心して残り少ない日々を過ごしていた。 、
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!