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その後、夕方まで二人は世話話をしていた。
「市、もう夕方じゃ。そろそろ帰った方が良いのではないか?」
市に貰った煙管で煙草を吸っていた柳は、紫煙を漂わせながら市に帰るように促した。
「え!?もう夕方なの!?やっぱり、お爺ちゃんと話してると時間が経つのが早いわねぇ♪」
市は楽しそうに言うと、縁側から立ち上がった。
「それじゃあ!!お爺ちゃん!!私は帰るね♪これは私が繕ってから明日持って来るね♪」
市はそう言って袖が破れた柳の着物を持って、手を振りながら帰っていった。
「・・・・・・明日か・・・・」
市を笑顔で見送った柳は、市の姿が見えなくなると煙管を吹かしながら、どこか寂しそうな顔でそう呟いた。
「・・・・・・ぐっ・・・げほっ!!ごほっ!!ごほっ!!ごほっ!!・・・・ごふっ!!」
しばらく、市の帰っていった先を見つめながら煙管を吹かしていた柳は、急に苦悶の表情になり口に手をあて、激しい咳をし始めた。
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