ある日常の風景画  Noa onestime picture.

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 博覧会、誰しも、胸躍り、また、喜劇を讃え、賛美し、称賛を分かち合う。  時は、中世。貴族社会の風刺或る一情景を眺め描く青年画家の姿があった。名はマーベック ワィツァー フィアンと言う、気揚がらずな、でありながらまた然別、静かな面持ちを芳させる、売れない二流画家の青年がいた。  この日に限っては、この青年も、早く身支度ほどこし、今日の日の為に、用意していた画具を手にとり、近づく展覧会へと、その朝方から、小鳥が心地好く、独りでに鳴き声止めぬその形成ちを、白紙の自己舞台へにと、延々と描いていた。  ――そこに、悲しみはない。自由、それしか私達を救えないはずだ。  マーベックは、大空に飛び立たん、とする小鳥に呟いていた。  ――静かに、幸せだけをただ讃えよ、あるがままの、ほの静かに自然は言うだろう。我、天地天來のその時まで、いざ飛び立たん。麗しのこの空よ。  刻暮なる陽酪が近づいた。それからしばらくしてや、マーベックは錆びた夜喫茶へと、足向かっていた。  「コーヒーをくれないか」  マーベックは、店主にそう言うと、カウンターに椅挫し、画材用具を脇に置いた。  「――どうも」  繁らしいその店主は、マーベックに告げられ、登りかかっていた梯子からゆっくりと降りていき、その無愛想な寸胴体を、几帳面にも、通路の端からこちらにと寄せ、まずいコーヒーを私にそそがせた。両手にはパンがあった。  「――ほら」  「すまない」  「今日は、騒がしかったが、何やら博覧会があったようだな。毎時毎時、そりゃ困る。遠方からおいでなすった馴れ馴れしい客面を長々と眺め渡せねばならん。本来、暇とは、罪だなあ、青年よ――」  私はひとつ頷き、どうでもいい話と、この、或る一口のコーヒーから感じられた苦味を、何かの役には立てることできないのか、と幾分、その店主が口にした、暇とやらを潰すことにひどく必至だった。  「兄さんは画家かい、そりゃあいいことだ。画家なら今を流れる日々の如く、俺が見てきたこの人生では、やはり、ああ、画家がいい」  ――よく口が進むな、とは思ったが、この事後、特に何も思い付かなかった程なので、マーベックは暫く様子見することにした。  「俺は、此処を開いてから、もう20年にはなるが、そうだな、昔は、特に何にも変わりゃしないこの街が好きだった。懐かしい。まだ結婚をしたてで、夢があって、娘が出来て、店も繁盛して、俺には
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