更に、四ヶ月目

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 四十九日で一月、百日供養も終わって一段落するまでの間、結局母は実家に戻さず、自分のアパートに引き留め続けた。  香典返しの手配も、遺産相続の件もようやく落ち着いたある日、母が急に倒れた……葬式後の疲れが出たのだろうか、それともこの数ヵ月、無理やり家事を任せたからだろうか。  しきりに家に帰りたがる母に根負けし、やっと仕事の休みが取れた日――実家まで車を走らせた。  ただ、母を独りで実家に置いておくのは何かと不安だったので、昔から懇意にしている近所の知り合いに声をかけて事情を話し、一人帰路についた。  高速のサービスエリア、晩飯になりそうな惣菜を手に取り、レジに向かう。  順番待ちの間、カウンターの角に置いてあった簡易カレンダーにふと目が止まった。 (……今日は親父の月命日だったんだな。だから、おふくろはあんなに家に帰りたがってたのか)  『月命日』、自分で思い付いた言葉に、血の気が引いていくのを感じた。父が死んでから、今日でちょうど四ヶ月!  急いで車に戻り、すぐ先のインターで折り返して実家への道を引き返す。折しも、携帯電話のバイブ機能が鈍い音を響かせた。
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