手紙

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 男四十代、妻無し、これといって恋人もいないやもめ暮らし――何の代わり映えもしない、平凡な日々。  親すら、もう嫁の『よ』すら口にしなくなった、とある日――  中学時代のクラスメイトと名乗る者から、一通の封書が届いた。  その名に全く覚えは無かった。わざわざ封筒で送られてきたその中には、背広に付いているような灰色のボタンが四つ、入っていた。  何かのいたずらだろうか、そう思いつつ同封されていた便箋を開くと、そこには少し背筋寒くなるようなことが記されていた…… 『このボタンを見ず知らずの四人に渡してください。  自分で持ち続けていると四ヶ月おきに身内が一人ずつ死んでいきます。  もし、見ず知らずの人に渡せない場合は、適当に誰かに全部送ってください。  この文章と同じ事を書いて送ってください。送り主に送り返すと自分が即死してしまいますのでご注意ください。  このような厄介な代物を押し付ける事になってしまってごめんなさい……  私は恐ろしくて処分できませんでした――』  後半はインクの滲みと文字の乱れで、ほとんど判読できなかった。 「全く、どうしろと言うんだ? こんなモノ」
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