手紙

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 初めは半ばパニック状態でアパートの階段を昇り降りしていたが――疲れと共に恐怖も薄れ、だんだんとどうでも良くなってきてしまった。 「四ヶ月……四ヶ月で親が本当に死ぬ目に遭ったら、考えよう」  自棄になると、あんなに怖がった自分自身すら滑稽に思えてくる。  忌まわしい封筒は机の引き出しの奥にしまい込み、そのまま忘れることにした。
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