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「好きなんだけど」
追い抜きざま手を繋ぐように指先が絡んできてビックリしたと思ったら、田口が耳元でそんなコトを囁き出した。
「はぁ??」
一体なんなんだろうと思ったら、べりっと音でもしそうな勢いで田口の身体が引き剥がされた。
「抜け駆け厳禁っ！」
中丸が難しそうな言葉使ってる。
「とろとろしてるお前が悪い」
２人はオレを挟んでギャーギャーやり始めて、やむなくオレは傍観者にならざるをえなくなった。
「ま、頑張れや」
ガシっと、肩が重くなって。
見れば田中が、とうとう始まったかって感じの笑い方してた。
「モテる男は辛いねぇ」
オレには意味がわかりません。
田中の反対側からオレの肩に手を掛けて、田中同様しなだれかかりながら、赤西が他人事みたいに呟いた。
正しく他人事ではあるんだけども。
そんなことより、この状況を説明して欲しい。出来るなら。
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