プロローグ

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 それと同時に辺りにいくつものサイレンの音が響き渡った。  そして、男の前後を塞ぐようにしてパトカーが数台止まり、中から十数人の警察官達が飛び出してきた。  警察官達に包囲された男は微かに頬を上げて言った。 「これがラスボス、か?」  そう言うと両手の包丁を握り直し、叫び声を上げながら自ら警察達の中に飛び込んで行った。  一目散に正面にいた警察官に向かって走り、右手の包丁を振りかぶった途端、周囲の警察官達が一斉に男に向かって盾を持って飛び込んだ。 「邪魔だぁぁああ!」  警察官に押さえ込まれる男は更に大声を上げ、その警官達を振り払いながら、正面にいた一人の警察官の喉元に右手の包丁突き刺した。 「7人目ぇぇぇえええ!」  それと同時に大柄でガタイの良い警察官に横から勢いよく体当たりをされた男は、数メートル吹き飛ばされた。 「痛っうう。やっぱラスボスはやるなぁ。ってか?」  そう言うと立ち上がり、再び叫び声をあげながら警察官に向かっていった。  直後、辺りに一発の銃声が鳴り響いた。  一瞬男の動きが止まり、その顔が激しい苦痛の表情に変わった。胸に手を当てると、その手は真っ赤な血で染まっていた。  そして次第に男の体から力が抜け、その場に倒れこんだ。 「痛っ……マジかよ。無茶苦茶痛てぇ。これって、俺、死ぬんじゃ? あれ? 死んだら、どうなるんだ? そんな説明受けてねぇぞ。ちょっと、え? やばい……意識が……。俺、死ぬのか?」 「――そうだ!!  “ブ、break――!”」
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