3人が本棚に入れています
本棚に追加
康典は言葉に詰まった
思えば武人として殺し合いや騙し合いの中に生まれ
人を信じたことがない
それは血をわけた親兄弟でさえも同様だったのである
「あなた、さあ
私はお裁縫をはじめようと思いますのでいつものように針に糸を通してくださいまし」
「おお、そうであった」
瞬麗は生まれつき手が震える神経症を病んでいたので針に糸を通すことができなかった
康典や他人にはたあいもないことであったが
自分には出来ないことをしてもらうことに瞬麗はことさらことさらに感謝した。
最初のコメントを投稿しよう!