針と糸~その2

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針と糸~その2

栄枯盛衰の人理 戦乱ののちに太平ありて 太平ののちに堕落あり 堕落ののちに傾国なりて 傾国ののちに戦乱あり 平和ボケした為政者と民はそのまま繰り返す歴史を繰り返すことになる 勤勉と頑強なる北方の騎馬民族女真族が 漢王宮に攻め寄せてきた 漢族危急存亡の時 古来よりある中人(ちゅうじん)たる漢族が 虫けらのような女真族ごときに攻められるとは なんと堕落しきった世であったのだ。 康典は自分の行いを悔い 漢中国明を愛していることに気付いた 我が知勇をもってすればまだ間に合うかもしれない 康典は決心して瞬麗に伝えた 「俺は仕事に行ってくる お前は鍵をかけて俺の帰りを待っておれ 俺が帰ってくるまで決して扉を開けてはならぬ よいな」 「わかりました いってらっしゃいまし」 康典は武具を着、ありったけの部下を集めて 漢領最後の関門 北遼関に陣取った
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