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これは、しばらく経ってから聞いた話。
小夜が事故にあったのは十二月二十三日。
公園に向かっている途中、信号無視をしていた車に跳ねられ意識不明の重体となってしまった。
すぐ病院に運ばれ入院したものの、クリスマスの日に心臓が止まったそうだ。
その間、一度だけ意識が戻ったらしく、その時呟いていた言葉は、僕の名前だったらしい。
小夜に最後の手紙をもらった日、あの日には、もう小夜はこの世にいなかった。
死んだ後になっても伝えてくれた『ありがとう』という言葉。
なぁ小夜…
僕は何もしてあげられなかった…
君が死ぬまで自分の気持ちにも気づかなかった。
大切なモノは失って初めて気づく。
その言葉を初めて実感した。
でも、失ってからじゃ遅いんだ…
僕はただ…
泣き崩れることしか出来なかった…
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