2人が本棚に入れています
本棚に追加
自分が、判らない。
名前はおろか、よくよく思えば場所さえも。死因すら…
しかし、いかんせん死んだ事だけは覚えている。ふと、自分は死んだのではなく、ただ記憶喪失になったのでは?とも考えた。が、なぜか心の底から、それは違うと体が言っているように感じるのだ。
そこで彼は、胸に手を当ててみることにした。一番古典的な方法にもかかわらず、今まで全く思いつかないとは。パニックになると基本すら忘れると言うが、間違いないようだった。
―――――……
そっと手を置いたが、反応はなく、鼓動は感じなかった。本当にこの体の機能は停止していたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!