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やれやれ、じゃあどうして立っているんだ?心臓が止まって、記憶がない。結局死んでるじゃないか。きっと未練でもあってとどまっているだけだ。
…いや、そうだ、"影"を見たんじゃないか。"影"があるなら、実体があると言う事…?
彼はまたパニックに陥っていた。胸に何度も手を当て、音がないのを確認し、考える。何度も繰り返して、何度も同じ考えになった。
"意識だけ有る体…?"
今まで以上に強い風が吹き、カーテンがガチャガチャと音を立てて外れた。同時に近くに被さっていた布も巻き込んだ。雷が遠くでまた鳴り、わずかな光を部屋に流した。
布がはがれて出て来た物は、大きな鏡だった。
そこに写っていたのは、人のシルエットこそしていたが、間違いなく人ではなかった。
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