再生の途

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「へんじがない。ただのしかばねのようだ」 「……何やってんの」 「しかばねごっこですよ。今や流行の最先端ですよ、先輩知らないんですか?」 「いつの間に日本はそんなイヤな国になったんだ。知らん」 「ふっふっふ、とうとう先輩に一矢報いました。ところでしかばねって何ですか? 可愛い動物の一種だと思ってるんですけど」 「……ああ、見る人が見たら可愛く映るんじゃない。お近づきになりたくない人種だけど」 「じゃあしかばねってペットショップに売ってますか?」 「そんなペットショップは嫌だ」 「ええ。じゃあ動物園とかで」 「それは最早動物園じゃない。どちらかと言うとお化け屋敷だ」 「し、しかばねって怖いんですか?」 「怖いって言うか何と言うか、はい。辞書貸してあげるから調べてみ」 「ありがとうございます…………………………………いやぁぁぁぁっ!?」 「うるさい事この上なし」 「せ、先輩っ! しかばねって、し、し、した……!」 「うん」 「どうしましょうどうしましょう。あたし知ったかぶりしてクラスの娘にしかばねを家で飼ってるって言っちゃいました!」 「うわぁ……」 「だ、だからみんなあたしの事変な目で……!」 「色んな意味でご愁傷様でした」
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