スコット・フィッツジェラルドの時計

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「りんりりんりりんりりんりりんり」 「如何にも不気味な鳴き声だ、と私は思った物でした。あの頃の――今もそうかもしれません――私は薄弱者でしたから」 「なんで文学テイスト何ですか」 「君がいきなり家に訪ねてきたと思ったら鳴き出すもんだから、文学に傾倒でもしないと自分を保てそうになかった」 「意味分かりません。先輩、倫理教えてください」 「あぁ、そうか君は今倫理をやってるんだったな。詰まるところ倫理は暗記教科だと思うんだけど」 「むりです。まず倫理っていう教科の存在意義が分かりません。大人になったらイデアがどうのこうのなんて使うんですか?」 「中学生みたいな不満唱えないの」 「大体『ユリーカ!』とか言いながら裸で街に飛び出す男の人の言葉に感化されたくないです」 「勉強が足りないな後輩。その頃は別に裸が珍しくなかったんだよ。ていうかアルキメデス関係ないじゃん。……そうだな、倫理というのはスク水について考えるような物だ」 「うわ、まさかまた」 「あの実用性を極めてながらの形式美、恥じらいに頬を染めながらもスクール水着を着る少女。絶対に必要なのかと言われたらNOだけど、人生にそういった事象が存在する事に自然と笑みがこぼれる。それに触れる事でさも自分が高尚な人間になったかのように思う事も出来る。それを眺める事で神という物が一体何であるのかを理解する事が出来る――いや、神という定義をそこに見出す事が出来るんだ。目には見えない物、概念といったそういう物がそこに確かに存在する事を立証する為に過去の賢人達は努力した。その集大成が倫理であり、僕らの理性だ。何が言いたいかと言うとスク水は神」 「もういやこのひと」
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