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部屋を一通り見回す。
しかし誰も見当たらなかった。
「やはり気のせいだったのか…」
勿論卓郎たちのことは心配だが、
この身が覚えた危機感が杞憂だったとわかり、俺はほっと胸を撫で下ろした。
そこには沢山の本棚があり、様々な種類の本がぎっしりと詰め込まれていた。
そして何より目につくのが、読書用らしき大きな机。
そこには鍵が置かれていたのだ。
俺はその鍵を手に取った。
その刹那、
「!!」
背筋に寒気が走る。
突如俺に襲いかかる今まで存在していなかったはずの禍々しい気配。
俺はそれが何なのか考える前に走り出していた。
部屋を出る。
それでも「やつ」は追ってくる。
速い。
ただ走っていても撒けそうにない。
隠れるしかない。
でも、どこに・・・
落ち着け。
冷静になるんだ。
廊下を全速力で走りぬけながら、俺は頭に館全体を思い浮かべる。
あそこしかない。
俺は階段を駆け上った。
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