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[七夕]
…もうすぐ、七夕か
輝くような満天の星空を見上げながら呟く彼は、少し疲れたような表情をした
原因はすぐに思い当たる
苦笑しながら僕は、そうですね、と答えた
…願い事、か
突然、独り言のように呟いた彼は、天へと向いていた顔を僕へと向けた
お前は、何を願う?
う~ん…、考えるそぶりをしてから答える
答えはすぐに決まったが、僕はあえてそうした
僕は、何も願いませんよ
はぁ?なんでだよ
願う必要がないからですよ
僕は貴方を愛し、貴方も僕を愛してくれている…
これ以上、何も望むものはありません
…そうかよ
赤面して下を向く彼に、愛してますと告げると、知らんと帰ってきた
そういえば、貴方は何を願うのですか?
お前が―…
声が小さくて聞き取れなかった
すみません、もう一度…
そしたら彼は、再び僕の方を向いた
お前が…
これからずっと、俺の側に居てくれるよう…に―…
恥ずかしいのか、俯きながら言う彼
とても可愛いくて、愛しくて
最後の言葉を言い終える前に抱きしめた
なっ…
ならば、貴方も願う必要はありませんね
え?
僕はこれからずっと、貴方の側に居るつもりです
離れる気なんて毛頭ありませんよ
………そうかよ
腕の中から聞こえた小さな呟きに、自然と笑みが零れる
あ、やっぱり願い事一つ思い付きました
…ん?
この幸せな時が、ずっとずっと続きますように
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