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「お、もしかしてあれはチルノか?」
誰かいないものか、と空を見上げた、片手にキノコを握ったままの魔理沙の目に映ったのは妖精チルノだった。
「おーい、チルノー!」
笑顔でチルノを呼ぶ魔理沙。
「……げ!ま、まりさ!」
上機嫌で飛んでいたチルノが急に表情を引きつらせて逃げようとしている。

そんなチルノを追いかけるため、魔理沙は箒に跨がり追いかけようとした。
「おいおい、どうしたんだ?」
「な、なんでもないから、こっちこないでよ!」
「あー?」
普段から「あたいったらさいきょーね!」と言い続ける、そんな自信過剰で単純なチルノなら理由も無く向かってくるだろうに、なぜか今日に限って逃げ腰である。
そこで、魔理沙はキノコをちらつかせながら、ボソっと呟く。
「うーん、せっかく強くなれるキノコを見つけてきたのになぁ……前に間違えてチルノにスパークぶっ放したことがあったと思うんだ。そのお詫びを探していて、今日ようやくいいものを見つけてなぁ。それがこのキノコなんだが、でもこんなに逃げるなら、無理に渡すのもダメだしな……。」
なんと長い、そして怪しい呟きなのだろうか。
間違えてというところを強調する魔理沙。
そもそも今回のキノコはわざわざ探して発見したものではなく、たまたま見つけたものであるし、第一、間違えてスパークをぶっ放すやつはそうそういない。
勿論、意図してやったことであり、また謝罪する気もさらさらない。
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